どうもこんにちは。
またまたフェラーリネタでございます。
なんだか最近フェラーリ専門店みたいになっておりますが、
決してそんなことはございません。
フェラーリもやってます、というだけです。
というか、コロナの影響での幌が全然入らないのです。
びっくりするくらい全然入りません。
特に需要の多い国産車系や普及価格帯の車種は酷いものです。
もう、世界中、ありとあらゆるメーカーに問い合わせても在庫なし。
いつ入るかも全く不明。
正直商売あがったりです本当に、どうしたものだか。
そんな中にあって、
少量生産の高級車の幌だけは需要が少ないせいか、割と普通に入るのです。
というわけで、必然的にフェラーリとかそっち系の作業ばかりになっているのが現状です。
はい、こちら、フェラーリ・F355スパイダーでございます。
奥に2台並んでいる360と比べるとかなりコンパクトな印象です。
この車、マフラーのせいもあると思いますが、音がめっちゃくちゃいいんですよ。
たまらない、乗りてぇ、高速でかっ飛ばしてみたい…。
こんなサウンド聞いたらもう自制心もぶっ飛んでしまいますね。
ちなみにこちら、MT仕様なのですが、思ったよりずっと乗りやすい!
(といっても敷地内で動かしただけですが)
フェラーリのMTってもっとシビアでバカみたいにクラッチが重くて、というのを想像していたのですが、
全然難しくない、普通です、というかむしろ乗りやすいくらいです。
クラッチの繋がる感覚もすごく分かりやすく、低回転トルクもちゃんとあって、
これなら絶対楽しく乗れそう!!と感じました。
ほんと乗ってみたいですこれは。
今回は幌交換と、油圧系統のフルオーバーホールをご依頼いただきました。
幌は社外品ですが、オーナーさんのほうでCORNESステッカーを手配していただいたので、
パッと見は純正と全く変わりありません。
クラシケ取得もこのままいけるかな?ダメかな。
なお、CORNESのステッカーは全てシリアルナンバーが振ってありまして、
CORNESが正規販売した車両以外では絶対に発行してもらえません。
ALSOKのステッカーもそうです。
よーく見ると実は正規品はシリアルナンバーが刻印してあるのです。
腕利きの泥棒はもちろんそのことを知っていると思いますので、
なんちゃってALSOKステッカーを貼っている人はきちんと契約しましょう。
ちなみに、「F355」の名前の由来は、3.5Lで5バルブ(1気筒あたり)なので「F355」です。
じゃあ「360」は?というと、単純に3.6Lなので「360」です、最後の0に意味はありません。
そして「360」はFが付かず、ただ単に「360」です。
でも次の世代の「F430」は4.3LエンジンにFが付いて、「F430」です。
歴代V8モデルを並べてみると、
308(3.0Lで8気筒)
328(3.2Lで8気筒)
348(3.4Lで8気筒)
F355(Ferrariの3.5L、5バルブ)
360(3.6L)
F430(Ferrariの4.3L)
458イタリア(4.5Lの8気筒)
488(1気筒あたり488cc)
F8トリブート(Ferrariの8気筒)
といった感じで、最初の3世代は規則性が見られるものの、
そのあとはFがついたりつかなかったり、数字の意味も毎回バラバラで、
なんともイタリアンな気質が感じられる命名になっております。
488は458の進化版ですので本来数字は増えないといけないのですが、
ダウンサイジングターボのせいで排気量が3.9Lに減ってしまったので、
なんかいい数字はないかー!となり、
おー1気筒当たりなら488か、ちょうどいいじゃん!となったのでしょう、たぶん。
はい、話があちこちそれましたが、こちらの油圧シリンダーも全てオーバーホールいたしました。
F355の場合は合計4本で数としてはそこまで多くないのですが、
本数の割にはかなり複雑な動きをいたしまして、
世界一複雑な動きをする360の幌へとつながっていく片鱗を感じさせます。
他の車種ではまず見かけない、かなり珍しいシリンダー配置です。
ポンプユニットとバルブブロックも全てオーバーホールいたしました。
ホースも全て新品です。
これで今後20年くらいは安心して乗れるでしょう!
と思いきや、、、
なんか漏れてる・・・?
うん、漏れてます。
明らかに漏れてます。
というわけで、もう一回オーバーホール工場行きです。
オーナーさん、ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ありません。
しかも、右を再交換したら、今度は左からも漏れてきて、
またしても再オーバーホール中です。。
どうもシールの設計に問題があったようです。
本当にすみません。
全然怒らない、急かしてもこないオーナーさんには感謝しかありません。
ちゃんと最後まで対応いたしますので、今しばらくお待ちください。
こちらは360のセカンダリーシリンダーです。
予算の関係もありとりあえず漏れが酷い右だけオーバーホールしたのですが、
右が直ったら今度は左からも漏れてきて、結局両方オーバーホールしました。
左右一対になっているシリンダーは両方に同じ系統の油圧がかかりますので、
まず一番漏れやすいところから漏れる、そこが直ると2番目に漏れやすいところから漏れる、
という感じになるのですねぇ、やはり。
また、左右一対のシリンダーの寿命はほぼ同時期に訪れます。
ですので、交換するなら左右一対がマストだな、と改めて実感したわけであります。
こちらは油圧系統には問題がなく、幌交換だけご依頼いただいた360です。
色のご相談も受けましたが、やはり赤ボディには黒でしょう、ということで黒幌です。
360や430の場合、幌上部と側面を最優先で仕上げていきまして、
内側のU字部分やリヤウィンドウは多少シワが入る場合があります。
これは幌自体の個体差もあり、どうにもなりません。
お、今回はフィッティングがいいな、ということもあれば、今回はイマイチかなーという時もあります。
イマイチな場合でも外側は必ずビシっと綺麗に仕上げますので、
内側部分の多少のシワはご理解いただけると幸いです。
今回はわりとフィッティングはいいほうですが、リヤウィンドウは少し波打っておりますね。
あと、世界一複雑と思われる(勝手に思っている)360/430の幌ですが、
動作機構や各パーツの意味はほぼ完璧に理解いたしました。
理解したうえで、容易に対処できる部分、どうにもならないので諦めるしかない部分、
そういった部分もかなり鮮明に見えてまいりました。
諦めるしかない部分についても、特性を知ったうえでただしく対処してあげれば、
幌や動作機構に致命的なダメージに至ることなく、比較的長く使えるようになります。
大切なノウハウなのでここでは書けませんが、
幌交換や修理をご依頼いただいた方には全てのポイントを説明させていただきますので、
弱点を理解したうえで、正しく付き合っていただければなと思います。
なんせフェラーリですから、一筋縄ではいきません。
車との対話だと思って、弱点も楽しみましょう。
それでは、また。
コメント