こんにちは。
今回はBMW・Z3のご紹介です。
完成写真の紹介ばかりでは芸がないので作業中の状況も含めて詳細に・・・
こちらは古いスクリーン。
オーナーさんが手縫いで補修しております。
外周全部となるとかなりの作業量であったと推測されます。
Z3の純正幌の場合、一応交換用リアスクリーンが用意されているのですが、
新車から数年程度ならばともかく、
10年以上経過していると幌そのものが収縮してしまうためサイズが全く合わず、
幌全体での張替えが必要となってきます。
こちらはリア周り。
ユーノスロードスターなんかと同じようにボルトで止まっているので外します。
Z3でも後期の場合、幌の下にレインレールが追加されております。
前期のレインレール無しはどう考えても無謀な構造でしたので、
メーカーもそのあたりを認識していて対策を施したことが伺えます。
端部はBピラーの後ろあたりでドレンに接続され、排水される仕組みとなっています。
これがあればリア周りの防水施工が適当でも雨漏りの心配はありませんね!
といっても、適当に処理するわけにはいかないので、きちんと対処いたします。
こちらはリアの分離作業。
ブチルゴムでガッチガチに固まっておりますので、
ヘラ状のものをボディと幌の隙間に突っ込んでブチルを断ち切っていきます。
幸い、そんなにネバネバしたブチルではありませんので、
一度切断してしまえば再びくっつくことはありません。
はい、取ったど。
ボディよりもフレームのほうが大きいので、取り出すのが少々大変です。
フレームはアルミ製でエッジが鋭くなっていますので、ボディを傷つけないようしっかり養生します。
フレームが外れたボディ側。
ブチルが大量に残っています。
これを残したまま新しい幌を付けると隙間だらけになってしまうので、しっかり除去します。
はい、取れました。
少し残って見えるのはテープの糊あとですので、防水性には影響しません。
実用上意義のないことで時間を浪費してもしょうがないので、この程度はご愛嬌。
ブチルは始末が悪く嫌いなので、いつものエプトシーラーで防水していきます。
3cmの幅広な防水帯を形成しますので、ブチルよりも信頼性は高いと思います。
ブチルだと「線」での防水なので少々怪しいところがあります。
施工後は雨漏りチェック。
これだけやっても漏れる場合、このもう一層後ろにある防水層が怪しいです。
まぁ、説明しだすとキリがないのでここでは割愛します。
とにかく、Z3のリア周りは少々理解に苦しむ妙な納まりになっています。
今回はオーナーさんの要望により、幌以外の部品も色々交換しました。
部品はオーナーさんの持込です。
サイドのベルトもゴムが伸びきっていたので交換しました。
純正部品でしたが、元のものより微妙に短く苦労しました。
あんまり引っ張ると千切れそうだし・・・・
落ち着いてきたら、また再調整したい感じです。
左Bピラー後ろにあるダンパーも交換しました。
開ける時はバタンと一気に開かないように下支えし、
閉めるときは少ない力で閉められるようアシストしてくれます。
ボールジョイントでポコンとはまっているだけなので交換は簡単です。
ただし、下側を外すには内装を少しばらす必要があります。
新旧ダンパー比較。
左はガスが完全に抜けて、短くなってしまっています。
一方新品のほうは手で押してみてもちっとも縮まないくらい強力です。
こちらはリアスクリーン上部にくる横骨です。
外したリベットの頭が内部に残りますので、端部に穴を開けて全て除去します。
ちなみに穴は元々開いているのですが、リベットを取り出すには少々小さいのでドリルで拡大しています。
削ったところは金属がむき出しになるので、タッチアップペイントで補修しています。
隠れてしまうので全く見えませんけど。
骨組内に残ったリベットは異音の原因となりますので、
当店では可能な限り取り出すよう努力しております。(どうにも出せない車種もあります)
作業中はスクリーンに傷がつかないよう厳重に保護します。
戦時中の窓ガラスみたい。
リアまわりはステープル(ホッチキスみたいなの)で止まっています。
Z3は受け側のプラに厚みがあるので、10mm足のステープルでしっかり止めます。
マスタングとかだと受け材が2~3mm程度しかなく、しかもすぐ割れる・・・
もう接着剤でくっつけたほうがいいです。
はい、というわけで出来上がり。
ちょうどZ4も入庫していたので新旧そろい踏み。
こちらの車両、10万キロ超えではありましたが非常ーにきれいな個体でした。
一番傷の目立ちやすい黒のボディにもかかわらずピッカピカ。
シートなんかも張替えかと思ったくらい。
よく言っていますが、こういうのがあるから中古車って全然わかりませんよね。
幌交換一つとってもしっかり部品交換してあるし。
それでは、また。
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